2014年11月30日

「新しいアイデアに反対しない」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Least Resistance to New Ideas" の日本語訳である。



新しいアイデアに反対しない The Least Resistance to New Ideas

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(1850年頃、米国G.F. Nesbitt & Co., printerによる)

何年も前に、サンフランシスコ・クロニクル紙が次のような短いコラムを掲載した。記者がインドを旅行したとき、ニューデリーで滞在したホテルの従業員に、自分はサンフランシスコ・ベイエリアから来た、と言ったところ、従業員は「おお、世界の中心ですね」と答えた。どうしてそう思うのか、と尋ねると、「世界の中心とは、新しいアイデアに反対しない場所のことだから」と言った。

サンフランシスコと未来志向との特別な関係について、これ以上の表現はないだろう。私の経験によれば、次の言明は真実だと思われる。新しいアイデアが湧き出る一人当たりの件数は、現時点では、地球上のどこよりもサンフランシスコ・ベイエリアが多い。

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posted by 七左衛門 at 18:06 | 翻訳    

2014年10月30日

「ビットが欲するもの」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "What Bits Want" の日本語訳である。



ビットが欲するもの What Bits Want

デジタルのビットにも生涯がある。ビットは人間の役に立っているが、人間はビットのことを何も知らない。ビットが本当は何を欲しているのか? 四つの異なるビットの身の上話を紹介しよう。

(A)
最初に登場するビット(ここでは「ビットA」と呼ぶ)は、キヤノン5D Mark IIカメラのセンサーで生まれた。ニューヨークでベビーカーの黒いプラスチックの取っ手をかすめた光線が、カメラのレンズに入って、大きめの切手サイズの小さな板に焦点を結んだ。鈍く虹色に光るその表面には、2100万個の長方形のくぼみがある。ベビーカーのハンドルの白く輝く部分から飛んできた光子は、カメラの中で赤緑青がモザイク状に配置されたフィルターを通過し、赤の画素番号6,724,573の微小な穴に入る。カメラの外で写真家がシャッターボタンを押すと、赤の画素番号6,724,573は、そこに到来した光子の個数を数える。さらに、隣接する緑と青の画素と比較して、とらえた色を計算する。画素番号6,724,573は、15個の新しいビットを生成する。その一つが我らのビットAであり、この画素が純白であることを示すのに一役買っている。

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posted by 七左衛門 at 22:15 | 翻訳    

2014年09月29日

「テクニウムの判定基準」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Technium Test" の日本語訳である。



テクニウムの判定基準 The Technium Test

私たちの小さな青い惑星の他にも、宇宙には千億個以上の銀河があって、それぞれに千億個の太陽があり、それぞれに数え切れないほどの居住可能な惑星がある。宇宙の中で、知覚のある生物が生息して独自の高度な技術を発展させている惑星を、何らかの方法で少なくとも1個、調査することができたとしよう。その惑星で、複雑な物体を発見した場合に、それが生物なのか、それとも創作物なのかを見分ける方法があるだろうか? ある特定の事例について、それが生まれながらの生命体なのか、それとも生命体によって作られた極めて高度な機械なのか、区別できるだろうか? どのような枠組みを使えば、「自然の」進化と、技術による進化とを識別することができるのか? その惑星の起源や最初の生活形を知らない場合に、その惑星における技術と生命体との差異について、何か特別な熱力学的または情報的な手がかりがあるのだろうか? 私としては、そのような判定基準は存在しないと思っている。

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posted by 七左衛門 at 22:37 | 翻訳    

2014年08月21日

「今からでも遅くはない」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "You Are Not Late" の日本語訳である。



今からでも遅くはない You Are Not Late

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1985年、ほぼ何でも好きなドットコムのドメイン名を手に入れることができた時代に、あなたが起業家だったとしたら、どんなにすごいか想像できるだろうか? あらゆる名前が使えるのだ。短い名前でも、カッコイイ名前でも。希望するドメイン名を申請するだけで良い。料金を払う必要もない。このすばらしい状況が何年も続いた。1994年に雑誌ワイアードの記者は、mcdonalds.com が未登録であることに気づいた。そこで、私たちの勧めに従って、その記者が自分でドメイン名を登録して、マクドナルドに譲ろうとした。しかし、同社のインターネットに対する無知ぶりは滑稽なほどで、その話がワイアードの記事になった。その少し前に、私はabc.comが未登録であることを発見したので、ABCの最上階の役員室にいる経営陣に向けて、デジタルの未来に関する講演をしたとき、ここの地下室にこもっている頭の良い計算機オタクに自社のドメイン名を申請させるべきだという話をした。でも、彼らはそうしなかった。

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posted by 七左衛門 at 20:54 | 翻訳    

2014年07月21日

「プラットフォームは商品に優越する」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Platforms Trump Products" の日本語訳である。



プラットフォームは商品に優越する Platforms Trump Products

テクニウム(訳注:文明としての技術)における一般的な傾向として、商品の販売からサービスの販売への長期的な移行がある。ジェフ・ベゾスは、以前から、キンドルは商品ではなくて、読み物へのアクセスを販売するサービスだと言っている。この差異は、もうすぐアマゾンが電子書籍の「読み放題」プランを導入することで、さらに明白になるだろう。読者は、個別の本を購入する必要がなくなる。そのかわりに、ネットフリックスでの映画と同じように、あらゆる本(当初は60万点)を購読する権利を得る。有料会員は、(最終的には)紙の本も入手できるようになる。アマゾン・ブックスは、商品ではなくサービスである。名詞ではなく動詞なのだ。

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アマゾンのKindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)書籍購読サービスのテストページ

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posted by 七左衛門 at 21:24 | 翻訳    

2014年06月23日

「決定的時間」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Decisive Hour" の日本語訳である。



決定的時間 The Decisive Hour

私の経歴は、写真家として始まった。アジアで何年もかけて、スチル写真による「決定的瞬間」を追求していた。光、角度、視点、形、動きなど、あらゆるものが完全に揃う瞬間だ。私がシャッターボタンを押すとき、そのマイクロ秒の間に、すべてが揃っている。そして運が良ければ、露出や焦点も適正になっている(しかし、それは後でフィルムを現像するまでわからない)。

映画やビデオの制作にも少しだけ関わったことがある。カメラが違うし、撮影手法も違う。決定的瞬間のことは忘れて、連続的な流れを追求するのだ。スチルカメラを使っているとき、このまま動画を撮影できたら良いのに、と何度も思った。両方を同時にこなす方法はあるのだろうか?

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posted by 七左衛門 at 22:30 | 翻訳    

2014年05月28日

「工業製品の迷信」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Technological Superstition" の日本語訳である。



工業製品の迷信 Technological Superstition

このハイテクの時代にも、迷信はまだ生き残っている。特に工業製品、その中でも歴史上の遺物のように扱われるものについて、顕著に現れている。最近では、米国での9.11の扱いに、超自然的な迷信がまぎれ込んでいる。

近代的大量生産の特徴は、ある発明について同一の複製品を安価に作成する機械の能力である。それは、生身の職人による不揃いな作品とは違う。鉄の塊を作る方法を考案すれば、工場でそれを何百万個でも作ることができる。まず、タイプライターの試作品を作れば、工場では、そのタイプライターと全く同じ複製品を何千台でも何百万台でも製作できる。

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posted by 七左衛門 at 23:01 | 翻訳    

2014年04月23日

「行動優先原則」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Pro-Actionary Principle" の日本語訳である。



行動優先原則 The Pro-Actionary Principle

新しい技術を試すにあたって、現在一般的に採用されている方法は、「予防原則」である。予防原則にはいくつかの方式があるが、いずれにも共通の特徴がある。その技術が危害を及ぼすものでないことを証明できるまでは、それを受け入れない。安全であることを証明できなければ、それは禁止されるか、または縮小、変更、廃棄、却下される。つまり、新しい思いつきに対する最初の反応は、安全性が確立するまで何もしないということである。技術革新が起こったときには、まず立ち止まる。そして、その次の段階として、オフラインで、あるいは模型を使うなど、危険がなくて安全でリスクの低い方法で試してみる。その技術が問題ないとわかった後で、初めて生活に取り入れるようになる。

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posted by 七左衛門 at 22:28 | 翻訳    



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