2008年06月22日

「ボトムアップだけでは不十分」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Bottom is Not Enough" の日本語訳である。



ボトムアップだけでは不十分  The Bottom is Not Enough

私は "Out of Control"(邦題:『「複雑系」を超えて−システムを永久進化させる9つの法則』)という本を書いた。それはボトムアップシステムという強大な力の到来を告げるものであった。ご存じの通り、賢い大衆、巣の精神(訳注:蜂の巣に見られるような集団としての知性)、ウェブの力、素人参加、分権的ウェブ、ネットワーク効果、共同作業などの話である。20年前にこの本は広い範囲にわたって注目すべき事例を網羅した。生物学、技術、文化などの世界では、分権的で統制のないシステムが達成可能である。20年後の今日でも、創発的なボトムアップシステムという潜在的可能性に私はまだ夢中になっている。

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posted by 七左衛門 at 22:59 | 翻訳    

2008年06月14日

「私たちはグーグルで賢くなるだろうか?」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Will We Let Google Make Us Smarter?" の日本語訳である。



私たちはグーグルで賢くなるだろうか? Will We Let Google Make Us Smarter?


『グーグルで人間はバカになるか?』

これはいつも挑発的なニック・カー (Nick Carr) が書いた今月のアトランティック (Atlantic) の記事の題名である。カーは自分で認めるとおり心配性である。新しい技術は人間をバカにしてしまうと心配する人は昔から大勢いるが、その長い行列に連なる人である。実際のところカーは、古代の心配性の人々がみんな間違っていたことを示す例をまとめるという良い仕事をしているのだが、自分自身の心配を本気で受け止めるのは困難なようだ。

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posted by 七左衛門 at 02:06 | 翻訳    

2008年06月05日

「つながるための技術」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Technologies That Connect" の日本語訳である。



つながるための技術  Technologies That Connect

ロングナウ財団(Long Now foundation)では、毎月「長期的思考についてのセミナー」を主催している。私はその共催者みたいなもので、聴衆から講演者への質問を交通整理する役である。今月の講演者はイクバル・カディーア(Iqbal Quadir)だった。この人は以前はハーバード大学にいたが、今はMIT(マサチューセッツ工科大学)にいる。私は10年ほど前にイクバルと知り合いになってから、携帯電話を使って世界を変えるという彼の冒険に注目している。今回のイクバルの講演は、技術がいかにして貧困を緩和するかというテーマだった。ここにその講演の概要を紹介する。

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posted by 七左衛門 at 20:09 | 翻訳