2008年07月31日

「豊かさは善」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Affluence is Good" の日本語訳である。



豊かさは善  Affluence is Good

人間は最低水準の生活ができるようになると、より多くのお金がより多くの幸福をもたらすわけではないというのが、過去30年にわたって一般的な考え方であった。ある一定限度以下の収入での生活では、より多くのお金があるほうが意味があるけれども、それ以上のレベルでは、お金では幸福を買えない。これが、今では古典となっているリチャード・イースタリンによる1974年の研究成果であった。

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posted by 七左衛門 at 22:36 | 翻訳    

2008年07月25日

「愛のロングテールというしっぽを振る」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Wagging the Long Tail of Love" の日本語訳である。



愛のロングテールというしっぽを振る  Wagging the Long Tail of Love

セス・ゴディンは、クリス・アンダーソンの「ロングテール」という考え方について研究している。よく誤解されるこの概念に対して、いつものようにセスは明快に解説する。彼は最近、ロングテールには三つの「利益のポケット」があるという分析を投稿した。そこにはこんな図が示されている。

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posted by 七左衛門 at 20:48 | 翻訳    

2008年07月22日

「ネオ・アーミッシュという撤退者」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Neo-Amish Drop Outs" の日本語訳である。



ネオ・アーミッシュという撤退者  Neo-Amish Drop Outs

伝説的な計算機科学者ドナルド・クヌースは、以前は電子メールやブログを利用していたが、今はやめてしまった。(たぶんPDAも、そしてブラックベリーのようなスマートフォンも使わない。)ウェブページはまだ持っていて、電子メールを使わない理由をそこで明言している。彼は「物事の最先端にいるよりも、最後尾にいるようにしたい。」と私に言っていた。それで即時の通信から撤退したというわけだ。

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posted by 七左衛門 at 13:20 | 翻訳    

2008年07月09日

「直線と指数関数の交点」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Where the Linear Crosses the Exponential" の日本語訳である。



直線と指数関数の交点  Where the Linear Crosses the Exponential

フリーマン・ダイソン(Freeman Dyson)は私が気に入っている大局観のある思想家だ。彼は自分の心と電卓の二つを持って世界に立ち向かっている。彼は疑わしい異説を検討することを楽しみ、そこから何か学ぶことができるかどうかを考えている。彼は普通とは違う立場をとってみて、もしそれが本当であるとしたらどうなるかを計算する。その結果の概略の数字が、私たちの知っている何かと一致するだろうか?

最近、ダイソンは地球温暖化という難問について、私の知る限り最も優れた分析を書いた。それはニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス(New York Review of Books)での書評という形を借りたものだ。ある現象の物理を計算することで新しい見方を引き出すという彼独特の能力を使って、この「書評」では三つの斬新な見解を示している。

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posted by 七左衛門 at 21:55 | 翻訳    

2008年07月02日

「マース=ガロー・ポイント」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Maes-Garreau Point" の日本語訳である。



マース=ガロー・ポイント  The Maes-Garreau Point

未来の出来事の予測は、現在の状況に大きく影響される。予測がたいてい間違っているのはそのせいである。現在の仮定を乗り越えるのは難しい。時間の経過とともにこの仮定は徐々に崩れて、ついには私たちを驚かせるようになる。みんなが「知って」いたように、人は無料で働いたりしないし、もし働いたとしても質の高い仕事をすることはない。だから、ボランティアの仕事によって信頼できる百科事典を作れるはずがないと一般に考えられていたが、私たちはウィキペディアを見てすっかり驚くことになってしまった。

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posted by 七左衛門 at 21:59 | 翻訳