2008年10月27日

「科学技術にだまされている?」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Are We Duped By the Technium?" の日本語訳である。



科学技術にだまされている?  Are We Duped By the Technium?

技術というものが、私たちの精神にとって良くないならば、どうして私たちは技術を使っているのだろう?

技術がもたらす便益に比べて、その便益のためのコストがあまりにも目立っていて、しかも多くの人にとってはあまりにも高価である。たしかに入手できるものが増えた。より多くの物、より多くの知識、より多くの選択を得たはずだ。しかし不思議なことに、新聞の世論調査によると、私たちの持ち物はより少なく、私たちはより賢くなく、より幸せでなくなっているようだ。ある人々にとっての進歩は、現代医学の奇跡によるものであって、今までより数十年長く生きられる程度では不満足ということもある。将来のいつか、科学のおかげで人間が永遠に生きられるようになるだろう。そうすれば、私たちは永遠に不幸なままである。

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posted by 七左衛門 at 23:03 | 翻訳    

2008年10月15日

「13世代」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "13 Generations" の日本語訳である。



13世代  13 Generations

賢明な社会は長期的な視野を持っている。たとえば、環境に対して、野生の生物や家畜の、あるいは外国から渡来した生物の遺伝子の配列を操作した結果として、千年後に何が起こるかについて、賢い文化ならば自問自答するだろう。使用済み核燃料が千年後にどうなっているか、とか。

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posted by 七左衛門 at 21:56 | 翻訳    

2008年10月10日

「増大する無知」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Expansion of Ignorance" の日本語訳である。



増大する無知  The Expansion of Ignorance

今日の世界で、最も速く増加しているものは情報である。情報は地球上の他の工業製品や天然の産物と比べて、十倍の速さで増加している。グーグルの経済学者ハル・ヴァリアンと私が共同で計算したところ、世界中の情報はここ数十年の間、毎年66%の割合で増加してきた。生産量の多い工業製品 ---たとえばコンクリートや紙など--- でもその増加はここ数十年で年平均7%にすぎないのと比べると、その爆発的増加がわかる。

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posted by 七左衛門 at 22:09 | 翻訳    

2008年10月05日

「思考主義」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Thinkism" の日本語訳である。



思考主義  Thinkism

「特異点」があなたの存命中に来るという心配をしなくてもよい理由はこれだ。:思考主義はうまくいかない。

まず、定義をいくつか。ウィキペディア(英語版)によると、特異点とは「人工知能を使って自分自身を向上させる機械の能力などにより、前例のない技術的進歩が起こるという理論上の将来のある時点」である。また、ヴァーナー・ヴィンジとレイ・カーツワイルによれば、人間よりも賢い人工知能がさらに賢い知能をもたらし、関連する科学的課題(さらに賢い知能を作る方法を含む)をその知能がすぐに解決し、すべての技術的問題が速やかに解決できるまで知能が拡大し、それによって社会のあらゆるものが進歩するので、特異点発生より先に何があるのか私たちは想像できない。ああ、その特異点は2045年までに発生することになっている。

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posted by 七左衛門 at 12:16 | 翻訳