2009年01月24日

「クラウドのためのクラウドブック」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "A Cloudbook for the Cloud" の日本語訳である。



クラウドのためのクラウドブック  A Cloudbook for the Cloud

大転換の真っ最中である。計算というものが、自分のパソコンから「一つのマシン」(訳注:地球上のネットや通信システム全体)へ移行しようとしている。つい最近までは、最も興味深くて目に見える計算は私たちの目の前のパソコンで実行されていて、退屈な企業向け計算は大きなデータセンターで実行されていた。ところが、データセンターのサーバーは、しだいに高性能で高速で安価になり、パソコンにはない多くの便益を一般ユーザーに提供するようになっている。この新しい枠組みでは、自分のノートパソコンで仕事をするかわりに、他のマシンの「クラウド」を、通常はウェブという形で使うことになる。

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posted by 七左衛門 at 22:30 | 翻訳    

2009年01月17日

「ジリオニクス ―超大量の世界―」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Zillionics" の日本語訳である。



ジリオニクス ―超大量の世界―  Zillionics

数の多さが違いを生む。

ある物が大量に存在すると、そのある物の性質を変えることができる。すなわち、スターリンが言ったように、「量も質のうち」なのだ。計算機科学者J.ストーズ・ホール(J. Storrs Hall)は"Beyond AI"(「人工知能の向こうに」)で次のように書いている。

もし何かが十分に存在するならば、それが少量で孤立した存在である場合に全く見られなかった性質を持つようになることがある。それは実際には珍しくない。その個数の差は少なくとも1兆(10の12乗)程度だろう。私たちの経験によれば、1兆個という数によって、量的なものだけに限らず、質的な相違が現れなかったことはない。1兆といえば、小さすぎて見えず軽すぎて感じられないイエダニと、象とを比べたほどの本質的な違いである。50ドルと、全人類の1年間の経済的生産高との違いである。名刺の厚さと、地球から月までの距離との違いである。

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posted by 七左衛門 at 13:22 | 翻訳    

2009年01月04日

「グーグル方式の科学」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Google Way of Science" の日本語訳である。



グーグル方式の科学  The Google Way of Science


ペタバイトレベル以上のきわめて大規模なデータベースができると、人間の学習方法が変わってしまいそうな予感がある。今までの科学の方法では、仮説を構築して観察したデータに合致させる、あるいは新しいデータを集めるということをしていた。そこには数多くの観察がある。どのような理論であれば、今までのデータをうまく説明することができて、そこから次の観察結果を予想できるのか?

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posted by 七左衛門 at 18:45 | 翻訳