2009年03月25日

「技術の民族性」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Ethnic Technology" の日本語訳である。



技術の民族性  Ethnic Technology

何かの技術が発明されて、それがどうして世界中のあらゆる所に広まらないのか不思議である。たとえば、農具の犂(すき)、腰帯機(こしおびばた=織機)、建築の飛び梁、その他何千もの古代の発明は、完成した後、なぜ世界中に普及しなかったのだろう?もしそれが本当に優れたものならば、その便益が情報と同じ速度で他の文化へ波及していかないのはなぜか?価値のある発明であれば、百年か二百年もたつうちに、山や谷を越えて伝わっていくはずだ。考古学上の遺物によれば、交易は着実に移動しているのに、技術革新はそうでないことがわかる。同じような資源、地理、気候、文化の場所であったとしても、技術の分布は常に不均一である。ある技術革新が一箇所にとどまって他の地域に伝わっていかないのに、別の技術が同じ経路を通って追い越して行くことがよくある。まるで技術が民族的な側面を持っているかのようだ。

…続きを読む

posted by 七左衛門 at 11:52 | 翻訳    

2009年03月14日

「アーミッシュのハッカーたち」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Amish Hackers" の日本語訳である。



アーミッシュのハッカーたち  Amish Hackers

アーミッシュは技術反対論者、すなわち新しい技術の利用を拒否する人たちだという不当な評判がある。よく知られているように、アーミッシュの中でも最も厳格な人たちは、電気や自動車を使わず、手動の道具や馬と馬車を使って農耕をしている。新しい技術を採用することの利点に関する議論では、アーミッシュはそれを拒否するという立派な選択肢を示して、目立つ存在となっている。でもアーミッシュの生活は決して反技術的ではない。実際に私は何度か彼らを訪問してみてわかったのだが、アーミッシュは器用なハッカーあるいは機械職人であり、優秀な製造者であり自作愛好者であり、驚くべき専門的技術を持っている。

…続きを読む

posted by 七左衛門 at 22:22 | 翻訳