2009年09月21日

「人類は技術の生殖器官である」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Humans Are the Sex Organs of Technology" の日本語訳である。



人類は技術の生殖器官である  Humans Are the Sex Organs of Technology

技術には独自の計略があると私は考えている。技術全体が、すなわち私の用語では「テクニウム」が、自立的であるという証拠は何か?というのは、自立的でないものが独自の計略を持つことはあり得ないはずだからである。私の解答は、三部構成になっている。

まず第一に、あるシステムが生存し続けるために他のシステムに依存しているとしても、そのシステムは計略を持ちうると私は思う。人間の知性と人間の文化を考えてみよう。当然ながら、人間は動物であり、単なる進化の産物である。ほ乳類として、生物学の法則に従わなければならない。人間は、生体組織としての方向性に組み込まれている。私たちの肉体は呼吸し、新陳代謝し、交尾し、排泄し、最後に死ぬ。人間の身体の行動計画は、他の動物の身体と全く同じである。

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posted by 七左衛門 at 13:08 | 翻訳    

2009年09月13日

「進化が進化する手段としての技術」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Technology, or the Evolution of Evolution" の日本語訳である。



進化が進化する手段としての技術  Technology, or the Evolution of Evolution

技術を考えるとき、私たちは配管やら点滅する表示灯やらが目に浮かぶ。しかし宇宙の観点で見ると、技術とは加速する進化である。

概念上は、自然の進化とは、可能性の空間を探求することである。すなわち、適応システム ――この場合には生命―― が、あらゆる可能な形態の中から、生き残るための新しい形態を探索する方法である。その適応システムは、この形態やらあの形態やらを試してみる。丸いものや長いもの、遅いものや速いもの、足があるものや翼があるもの、など。探索という競技を継続できるような、いろいろな構造を用意する。そこで見つけられる形態のほとんどは、ごく短時間しか生き延びられない。しかし長い年月を過ぎると、生命というシステムは、非常に安定な形態に落ち着く。地球上での安定な形態とは、管状の腸であり、植物の葉であり、左右対称の形である。その形態のおかげで、生物はさらに多くの形態を探索し続けることができる。生物が「発見した」自然の進化はいずれも、より多くの革新を発見するための基盤となっている。この過程で、生命は生存形態の種類と、進化を持続する能力を拡大している。

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posted by 七左衛門 at 16:43 | 翻訳