2010年04月11日

「シャーキーの法則」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Shirky Principle" の日本語訳である。



シャーキーの法則  The Shirky Principle

「組織は自分自身がその解決策となるべき問題を維持しようとする。」―― クレイ・シャーキー

この意見はすばらしいと思う。これを見て、私は明解なピーターの法則を思い出した。それは、組織にいる人間はその人が無能になる段階まで昇進する、というものである。その段階になると、その人は過去の業績のおかげで解雇されることはないが、それ以上昇進できなくなって、その無能な状態で滞留する。

シャーキーの法則が述べるところは、複雑な解決策(たとえば会社、あるいは産業など)は、その解決しようとする問題に専念しているために、気づかないうちにその問題を永続させようとする場合が多いということである。

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posted by 七左衛門 at 11:52 | 翻訳    

2010年04月03日

「自由意志は拡大する」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Expansion of Free Will" の日本語訳である。



自由意志は拡大する  Expansion of Free Will

テクニウム(訳注:文明としての技術)の進化は自律的である。時間の経過とともに、自己組織化の形態を順にたどって発展する。この自己組織化の形態は必然的なものであるから、私たちはそれに対して備えることができる。しかし、テクニウムの必然的という側面は、人間の自由意志に反するように見えるので反発を招く。

作家のアイザック・シンガーは、以前、冗談半分に言っていた。「私たちは必ず自由意志を信じなければならない。そこに選択の余地はない。」この種の破れかぶれな考えは、技術が進化する方向性に対するほとんど本能的な拒絶として出現することが多い。「私たちはテクニウムに内在する方向性を拒否しなければならない。それは、自分で自分の運命を決めるという人間の神聖な役割を減退させるからである。」

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posted by 七左衛門 at 15:15 | 翻訳