2013年06月23日

「停滞する進歩」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Plateau of Progress" の日本語訳である。



停滞する進歩 Plateau of Progress

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このスライドは、ヴァージン・ギャラクティック社のCEO(最高経営責任者)ジョージ・ホワイトサイズの講演で使われたもので、人間の乗り物の最高速度を対数目盛で示したグラフである。過去数世紀の間、その最高速度は、カーツワイル的な増加率で着実に増大してきた(訳注:米国の発明家レイ・カーツワイルは、技術が指数関数的に進歩すると主張している)。しかし、最近の数十年では、人間の乗り物の最高速度(宇宙ロケットが時速14,000マイル)は、横ばいになっている。しかし、ホワイトサイズの説明によれば、速度が十倍の割合で増加し続けると(計算機のように!)、2060年には光の速度に到達する(グラフ右端の赤い縦線)。そうなれば、恒星間旅行が可能になる(そして、ヴァージン・ギャラクティック社が喜ぶ!)。

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posted by 七左衛門 at 16:27 | 翻訳    

2013年06月05日

「単独犯行による人類破滅はありうるか?」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Myth of the Lone Villain" の日本語訳である。



単独犯行による人類破滅はありうるか?  Myth of the Lone Villain

ハリウッド映画にありがちな表現として、邪悪で天才的な狂人が、自分で発明した新技術を使って多数の人間を殺す(または、殺すと脅迫する)というものがある。孤独で邪悪な天才は、必ず、ハイテク完備の秘密の隠れ家にいて、一人きりで仕事をする。この時点で、このシナリオは全くの作り話だ。なぜならば、それだけの技術全部を自分一人で運用することは、不可能だからである。たとえば、3台の計算機とネットワークをただ一人だけで維持管理し続けることは困難である。その狂人の電子開閉扉は、発明した直後であれば、きっと毎月1回は故障する。それでは、殺人光線兵器を発明して、利用可能な状態を維持できるのか? いや、無理だ。孤独な天才は、人類を破滅させることはできない。その種の威力を行使するには、協力が必要である。

そこで、私は、新しい法則を提示したい。「一人の人間が他人を殺害する能力は、昔と比べて増大してはいない。」

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posted by 七左衛門 at 22:00 | 翻訳