2008年07月22日

「ネオ・アーミッシュという撤退者」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Neo-Amish Drop Outs" の日本語訳である。



ネオ・アーミッシュという撤退者  Neo-Amish Drop Outs

伝説的な計算機科学者ドナルド・クヌースは、以前は電子メールやブログを利用していたが、今はやめてしまった。(たぶんPDAも、そしてブラックベリーのようなスマートフォンも使わない。)ウェブページはまだ持っていて、電子メールを使わない理由をそこで明言している。彼は「物事の最先端にいるよりも、最後尾にいるようにしたい。」と私に言っていた。それで即時の通信から撤退したというわけだ。

ラインホルト・グレーター教授はオンラインのニューメディア・アーティスト・カタログを主宰していて好評だった。それは超人的な努力の賜物で、無名であっても必要不可欠なリンクを何百件も集めたものだった。ところが彼のウェブサイトには突然このような通知が掲示された。「2003年にインターネットを捨て、2006年には携帯電話のネットワークを捨てたので、私のネッツヴィッセンシャフト(ネット学)のリンクページは完全に時代遅れになってしまった。もう、お別れの時が来た。」彼のオンラインでの人格は消滅した。

多くの人は、電子メールやらブログやらツイッターやら、その他いろいろ詰め込みすぎて不満を言っている。しかし不満を言う人が究極の論理的解決に至る、すなわち全部やめてしまうことはほとんどない。

メディアにどっぷり浸かっていたのに撤退してしまったという人に私は興味がある。部分的にではなく、時々ではなく、休暇中でもなく、インターネットから完全に撤退した人だ。今、彼らは幸福だろうか?ドナルド・クヌースは幸福で生産的なようだ。他の人たちはどうしているのだろうか?爆弾魔ユナボマーみたいに世捨て人になっているのか?同好の士が集まってコミュニティーを作っているのか?あるいは、インターネットから撤退する人はごくわずかで、単なる統計的異常値にすぎないのか?

伝統を守り続けるアーミッシュのことは知っているが、ここでは数には入れない。なぜならば彼らは一度もネットに接続したことがないのだから。私が関心を持っているのは、ネオ・アーミッシュの撤退者たちである。(ミートアップというSNSにネオ・アーミッシュのグループがあるが、私はそれ自体が不適格だと思う。)

neo-amish.jpg

注目すべき撤退者がいれば、コメント欄に書いて欲しい。そしてリストを更新していきたい。





Creative Commons License

この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。

posted by 七左衛門 at 13:20 | 翻訳