訳 :堺屋七左衛門
この文章は Kevin Kelly による "Affluence is Good" の日本語訳である。
豊かさは善 Affluence is Good
人間は最低水準の生活ができるようになると、より多くのお金がより多くの幸福をもたらすわけではないというのが、過去30年にわたって一般的な考え方であった。ある一定限度以下の収入での生活では、より多くのお金があるほうが意味があるけれども、それ以上のレベルでは、お金では幸福を買えない。これが、今では古典となっているリチャード・イースタリンによる1974年の研究成果であった。
ところが最近、新聞紙上でその結果に対する議論があり、豊かさは世界中でより多くの満足をもたらすという結果を示している。ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は素晴らしいグラフとともに、「結局はお金で幸福を買えるらしい」("Maybe Money Does Buy Happiness After All") という良い記事を書いて、この新しい主張を解説した。リチャード・イースタリンは年月を経て国別に集計された良いデータを見たいと思うだろう。しかし、そのデータからは、豊かさが満足をもたらすように見える。

この調査に対する私自身の解釈は、お金がもたらすのは、ただ単により多くの物というのではなく、より多くの選択である(その中には多くの物も含まれてはいるが)。私たちは多くの道具や経験に幸福を見いだすのではない。私たちは自分の時間や仕事を管理すること、本当の余暇を持つ機会、戦争や貧困や堕落などという不確実性からの脱却、個人の自由を追求する機会などに幸福を見いだす。これらはすべて、より多くの豊かさから得られるものである。
私に断言できるのは、豊かさには多くの代償が必要であるが、あらゆる人にとっての豊かさが、多ければ多いほど良いということだ。
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