2008年08月13日

「計算機にできることが一つ増えた」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Another One for the Machine" の日本語訳である。



計算機にできることが一つ増えた  Another One for the Machine

計算機はチェスやチェッカーを習得して、人間の最強選手も打ち負かすようになった。今では安い電子ゲームやオンラインの対局でも、たいていの普通の人間には勝つことができる。しかし囲碁という古来のゲームは技術者たちの努力に長い間対抗してきた。人間の囲碁の名手に勝つ囲碁コンピュータを作るという努力に。一部の囲碁ファンたちは、計算機が人間の名手を打ち負かすことは絶対に不可能だと信じていた。着手可能な手の組合せの数は、囲碁ではチェスに比べて断然多い。またチェスで使われる力ずくでしらみつぶしの探索よりも、囲碁ではパターン認識がずっと重要視されている。囲碁に勝つというのは、人間だけに達成可能なことだと思われていた。

それは違う!先週、2008年8月7日木曜日、MoGo(モゴ)というソフトウェアプログラムが米国の(訳注:実際には韓国人)プロ棋士に勝ったのである。そのソフトウェアは借り物のスーパーコンピュータ(800個の4.7GHzプロセッサ、15テラFLOPSの演算能力)で実行した。米国囲碁協会によれば、MoGoはキム・ミョンワン八段に勝ったという。この対局ではプロと同じ19路盤を使用したが(今までの計算機の勝利は、ほとんどがもっと小さい9路盤によるもの)、キムは最高位のプロ棋士(九段)ではないし、また計算機には9子のハンディキャップが与えられていた。キムは他の2局では勝っている。対局後、キムはMoGoは2段から3段くらいだと評価した。

それでも、囲碁はチューリング化(原文"Turing'd")されてしまった。自動車の運転もチューリング化されている。人間の認知活動のうち、計算機には不可能だと普通の人が考えるもののリストは、ごくわずかになってきた。

芸術を創造する。小説、交響曲、映画を創作する。
会話をする。
冗談で笑う。

一般に人々が計算機にはできないと思っていることは、他にあるだろうか?





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posted by 七左衛門 at 10:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳    
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