2008年12月13日

「保管とは移動すること」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Movage" の日本語訳である。



保管とは移動すること  Movage

デジタルの継続性は重要な問題である。デジタル情報は、短期間のうちに非常に容易にコピーできるが、長期間にわたってコピーしておくことは非常に困難である。すなわち、今たくさんのコピーを作ることはできても、1世紀以上にわたってコピーを保持することが非常に難しい。それには二つの理由がある。

(1) フォーマットが変化する。技術の進化が速いために、ある記憶媒体が話す「言語」がたった2〜3年のうちに旧式になる(理解できなくなる)可能性がある。あるいはその言語を話すハードウェアが稀少になって、読み書きできなくなる。十年前のフロッピーディスクにあるデータを読める人がいるだろうか?

(2) 記憶媒体そのものが劣化する。たいていのデジタル媒体よりも、長期的には紙のほうがはるかに安定であることがわかってきた。磁性体の表面は欠落したり、はがれたり、壊れたりする。耐久性があると思われていたCDやDVDも、あまり安定ではない。

dvd-scratches-main_Full.jpg

後者の例として、技術に詳しいニューヨーク・タイムズのデビッド・ポーグ (David Pogue) は、あまり知られていないことだが自分で書き込んだDVDの寿命が短いと嘆いている。

オリジナルのiMovie(アイムービー)のプロジェクトを全部DVDに保存して、透明ケースに入れて、机の横の引き出しにきれいに並べてあった。

どうなったと思う?映像編集に使っているMac(マック)で、ほとんどのDVDが読めなくなっている。まだ4年も経っていないのに!

自分で書き込むDVDは有機色素を使っていて、時間とともに劣化することはもちろん知っている。市販製品のディスクみたいに長持ちしない。でもねえ、4年だって?とってもびっくりしたよ。


さあ、みんな、よく聞いてほしい!

デジタル情報を長期保管する唯一の方法は、移動し続けることである。私はこれをストレージ(蓄えること)のかわりにムーベージ(動かすこと)と呼ぶ。正しいムーベージとは、素材を定期的に、すなわち、古いプラットフォームが完全に消滅して移動が困難になる前に、最新のプラットフォームへと移動することである。この内容更新の動的リズムは、呼吸のサイクル ―吸って、吐いて、吸って、吐いて― というのと同じくらい円滑でなければならない。コピーして、移動して、コピーして、移動して。

要するに、未来へ持って行きたい物は何でも、いつもそれが前進し続けるように注意していなければならない。

デジタル媒体のムーベージについて、自然な呼吸サイクルがどの程度であるかは、それが非常に新しいものなので、まだよくわからない。しかし、私たちが思っているよりもずっと短そうだ。私の推測では5年と見ている。どんなデジタルフォーマットでも、大切なものを記録したら、5年以内に新しい媒体に移動するつもりでいなければならない。そしてその後も、5年ごとに永遠に!

移動して、移動して、移動して。





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この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。

posted by 七左衛門 at 21:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳    
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