2010年03月06日

「ゲーム化する生活」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Game-ified Life" の日本語訳である。



ゲーム化する生活  The Game-ified Life

ゲームの将来について、ゲームデザイナーのジェシー・シェルが語るこの講演は、ぜひ視聴すべきだと思う。私が長年聞いてきた中でも、意識改革に最も影響のある講演である。多くの新しい考え方が示されていて、しかもとても速く話が進むので、私はその講演映像をすでに2回見たが、できればもう1度見ようと思っている。これはそういった種類の講演だ。

私がシェルのファンになったのは、"The Art of Game Design"(ゲームデザインの技巧) という本を発見したときである。それはゲームデザインについての最良の本であるだけでなく、複雑なもの全般の設計に関するすばらしい本である。(この本についての私の書評はこちら。)

シェルの講演は、フェイスブックのゲームという非常に狭い範囲の話題から始まっている。この講演を聞いているのはゲームデザインの専門家なのだから、それは驚くことではない。シェルの主張によれば、今、最も大規模で最も利益を上げているゲームのいくつかは、ゲーム機で実行するものではなくて、フェイスブックその他の意外なプラットフォームで動いている。人気のあるゲームが、このようなゲーム用でないプラットフォームを使うことは、彼のような専門家であっても予測できなかったと言っている。

講演の中間部分では、このような予想外の人気ゲームには、たいてい「現実の障壁を突破する」という共通要素があると気づいたという話をしている。ウィー(Wii)、ギターヒーロー(Guitar Hero)、ウェブキッズ(Webkidz)、ファンタジーフットボールなど、これらはすべて片足を空想世界に、そして片足を現実世界に置いている。すなわち身振りや、プラスチックのギターや、動物のぬいぐるみ、フットボールの試合などの現実世界だ。この状況は、人工的な信憑性を指向する大きな動きの一部でもある。

講演の最後の3分の1で、シェルは本領を発揮する。普通の生活がゲーム化するという見解を示している。追跡探知技術が安価になるおかげで、あらゆる行動は、点数を集めるという「ゲーム」になる。生活のゲーム化が普遍的になると、得点を重ねて「次のステージに進む」ことをして日々を過ごすようになる。学校で次の学年に進むかわりに、次のステージに進む。それは頭がクラクラするようなシナリオであって賛否両論あるだろうが、検討してみる価値は十分にある。

この映像を2回目に見たとき、シェルがある種の注目経済についても述べていることに気づいた。すなわち、そこでは、広告に対する注目、その他の活動への注目、あるいは他の人への注目に応じて点数が加算されるという。この構想のある程度の部分は、どうにも避けられないと思われる。

近いうちにきっと、このシナリオに基づく映画が現れるに違いない。









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posted by 七左衛門 at 14:01 | Comment(1) | TrackBack(0) | 翻訳    
この記事へのコメント
講義の後半は本当に面白いですね。
スコア管理のシステムが行き着くところまでいくと、ポイントが上がる行為と、下がる行為を規定することで緩やかに意図する思想や人生観に導けるようにもなってて結構怖いなぁとか思いながら聞いてたんですが、よくよく考えると追跡探知で外面化されて明示的に奨励されていないだけで、今の現実ですでに起きている事なわけだし。
なんだかいろいろ考えされせられました。
Posted by Tabi at 2010年03月07日 20:51
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