2011年06月04日

「テクノ生活のスキル」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Techno Life Skills" の日本語訳である。



テクノ生活のスキル  Techno Life Skills

今、あなたが学校に通っているのであれば、将来、大人になったときに利用する技術は、まだ発明されていない。したがって、あなたにとって最も必要とされる生活スキルは、特定の技術を習得することではなくて、テクニウム(訳注:文明としての技術)全体、すなわち技術が一般的にどのように作用するかを知ることである。いかなる種類の新技術にも対処できる能力をテクノ・リテラシーだと考えたい。現代生活における技術の激流の中で、安心して過ごすためには、テクニウムの言語を話すこと、そして以下に示す原理を習得することが必要だと思う。

・買ったものは、必ず保守しなければならない。何でも道具を使うときには、使用、取付、改良、修理の方法を習得する時間が必要である。購入は第一歩にすぎない。ある技術を保守するためには、その技術の取得に要したのと同程度のエネルギー、費用、時間を想定しておくべきである。

・技術は非常に速く進歩するので、それが本当に必要になる5分前まで先送りすべきだ。買ったものは何でもすでに時代遅れになっているという事実を受け入れよう。したがって、物を入手するのはギリギリの最後になってからしよう。

・いつも新参者ということになる。初心者モードに上達しよう。新しいプログラムを学ぶ、ばかな質問をする、間抜けな失敗をする、助けを求める、そして、習ったことを使って他人の手助けをする(これは最良の学習方法だ)。

・新しい道具を習得するためには、古い道具を忘れなければならない場合が多い。有線の固定電話を使うときの習慣は、電子メールや携帯電話には役に立たない。電子メールの習慣は、ツイッターには役に立たない。ツイッターの習慣は、次に現れるものには役に立たない。

・休息を取ろう。週に1回、道具を忘れよう。年に1回、道具を手放そう。一生に1回、全面的に後退してみよう。新たな熱意と見通しを持って再開できるようになる。

・切り替えは容易であるか? 今使っている道具は、近い将来、手放すことになる。容易に手放すことができるか? 手放すために、今までのすべてのデータを捨てなければならないとか、新しいキー入力の方法を習得しなければならないとか、まだ使っている技術を4件放棄しなければならないのであれば、それに着手するのはたぶん最適ではない。

・品質は必ずしも価格と相関があるとは限らない。あるときは高価な道具が良いし、あるときは最も安価なものが最適である。仕様の査定と検討が必須になる。

・ネット上で専門家の意見を見つけたら、それと同格だが反対の専門家の意見をさがそう。いろいろな意見をひととおり承知した上で決断すべきである。

・ある技術を使いこなすためには、それがどのように機能するかを理解する必要はない。生物学の作用を知らなくても、私たちは木を使いこなしている。

・道具は人間の考え方を示す比喩である。新しい道具の背後には、どのような前提があるだろうか? その道具が想定しているのは、右利き、識字能力、パスワード、それとも、それを捨てる場所? デフォルトの設定は、その道具の偏向を反映している可能性がある。

・何をあきらめるか? 私がそのことを習得するのには、長い時間が必要だった。新しい技術を取り入れる唯一の方法は、使っている既存の技術を減らすことである。ツイッターを始めるには、他に何かしていることを犠牲にしなければならない。たとえそれがボーッとしている時間であっても。

・あらゆる新しい技術には、しっぺ返しがある。その効用が強力であればあるほど、誤用の影響も強力になる。その代償を見極めよう。

・新しい技術のリスクは、既存の技術のリスクまたは技術がない状態と比較すべきである。新しい歯科用MRIのリスクは、歯科用X線のリスクと比較しなければならない。歯科用X線のリスクは、X線なしで虫歯になるリスクと比較しなければならない。

・利用を妨げる障壁がある技術は、疑ってかかるとよい。その技術を自分で修正したり、変更したり、改造したりできるならば、それは良い兆候である。

・ばかげた技術に対する正しい反応は、より良い技術を自分で作ることである。ばかげた意見に対する正しい反応は、それを禁止することではなくて、それに代わる良い意見を出すことであるのと同じだ。

・新しい発明が実際に何の役に立つかということは、誰にも分からない。判断するためには、考えるのではなく試してみよう。

・技術の副次的効果が現れるのは、通常、それがあらゆる人に行き渡ったとき、あるいは、あらゆる場所に存在するようになったときである。

・技術が古いものであるほど、長期にわたって役に立つ可能性が高い。

・最大量の選択肢を得るための最小量の技術を見つけよう。





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posted by 七左衛門 at 22:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳    
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