2012年08月08日

「私たちは星くずである」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "We Are Stardust" の日本語訳である。



私たちは星くずである  We Are Stardust

毎年、年末になると知的興行主(私の著作権代理人でもある)ジョン・ブロックマンは、顧客や友人に質問を投げかける。2012年を迎えるにあたっての質問は「あなたのお気に入りの、深遠で洗練された美しい説明は何か?」というものだった。約200人がそれに答えていて、それを編集したものがここにある。このまとめは良い読み物である。

私の答え:

私たちは星くずである

私たち人間はどこから来たか? 人間は星の中で作られたというのが、深遠で洗練された美しい説明だと私は考えている。この説明によれば、私たちの身体の中のすべての原子は、はるか昔に消滅した星の炎熱地獄で作られた素粒子からできている。私たちは核融合の副産物である。この巨大な熱源による強烈な圧力と温度の作用によって、崩れた雲状の微小な素粒子はより重い粒子になった。ここで融合した粒子は、その炎熱地獄が死滅するとき空間に噴出した。私たちの骨にある最も重い原子は、そこまで大きくなるためには、星の炎熱地獄を2回以上必要としたのかもしれない。このようにしてできた無数の原子が結合して惑星を作り、生命という不思議な不均衡がその原子の一部を人間の体内に取り込んでいった。私たち人間はみんな星くずが集まったものである。星に由来する物質である人間は、最も洗練された重要な変化のおかげで、夜空を見上げて他の星が輝くのを認識する能力を持っている。星は遠く離れた所にあるように見えるが、たとえ何光年も離れていたとしても、人間は星のすぐ近くにいる。人間同士が目にするものはすべて星で生まれたものである。これはなんとも美しい話ではないか?





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posted by 七左衛門 at 22:26 | 翻訳