2013年07月07日

「気付かれない技術」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Undetectable Technology" の日本語訳である。



気付かれない技術 Undetectable Technology

小説『Permanence』の著者でSF作家のカール・シュレイダーが、フェルミの逆説について書いている。フェルミの逆説とは、宇宙が無限であるならば、発達した文明が無限個存在して、その存在を示す証拠を発しているはずなのに、私たちが見る限りどの方向にもその兆候は見つからない、ということである。空は異星人であふれていそうなものだが、そうなっていない。なぜだ?

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posted by 七左衛門 at 16:44 | 翻訳    

2013年06月23日

「停滞する進歩」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Plateau of Progress" の日本語訳である。



停滞する進歩 Plateau of Progress

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このスライドは、ヴァージン・ギャラクティック社のCEO(最高経営責任者)ジョージ・ホワイトサイズの講演で使われたもので、人間の乗り物の最高速度を対数目盛で示したグラフである。過去数世紀の間、その最高速度は、カーツワイル的な増加率で着実に増大してきた(訳注:米国の発明家レイ・カーツワイルは、技術が指数関数的に進歩すると主張している)。しかし、最近の数十年では、人間の乗り物の最高速度(宇宙ロケットが時速14,000マイル)は、横ばいになっている。しかし、ホワイトサイズの説明によれば、速度が十倍の割合で増加し続けると(計算機のように!)、2060年には光の速度に到達する(グラフ右端の赤い縦線)。そうなれば、恒星間旅行が可能になる(そして、ヴァージン・ギャラクティック社が喜ぶ!)。

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posted by 七左衛門 at 16:27 | 翻訳    

2013年06月05日

「単独犯行による人類破滅はありうるか?」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Myth of the Lone Villain" の日本語訳である。



単独犯行による人類破滅はありうるか?  Myth of the Lone Villain

ハリウッド映画にありがちな表現として、邪悪で天才的な狂人が、自分で発明した新技術を使って多数の人間を殺す(または、殺すと脅迫する)というものがある。孤独で邪悪な天才は、必ず、ハイテク完備の秘密の隠れ家にいて、一人きりで仕事をする。この時点で、このシナリオは全くの作り話だ。なぜならば、それだけの技術全部を自分一人で運用することは、不可能だからである。たとえば、3台の計算機とネットワークをただ一人だけで維持管理し続けることは困難である。その狂人の電子開閉扉は、発明した直後であれば、きっと毎月1回は故障する。それでは、殺人光線兵器を発明して、利用可能な状態を維持できるのか? いや、無理だ。孤独な天才は、人類を破滅させることはできない。その種の威力を行使するには、協力が必要である。

そこで、私は、新しい法則を提示したい。「一人の人間が他人を殺害する能力は、昔と比べて増大してはいない。」

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posted by 七左衛門 at 22:00 | 翻訳    

2013年05月20日

「不気味の谷を越える」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Beyond the Uncanny Valley" の日本語訳である。



不気味の谷を越える  Beyond the Uncanny Valley

昨夜、映画「タンタン」を見た(訳注:原文発表は2012年1月)。素晴らしいものだった。不気味の谷を越えて、ハイパーリアル(超現実感)に突入したのだと思う。

不気味の谷とは何か? ロボットやアニメーションを人間らしく見えるようにすると、あるところまでは、次第に親近感が強くなる。しかし、人間にかなり近づいてくると、わずかに残る差異のせいで、気味が悪いと感じることがある。それが「不気味の谷」の理論であり、映画「ポーラー・エクスプレス」の登場人物や、ピクサーの初期の短編映画の赤ん坊を見たときに、気味が悪いと感じる理由だと推測されている。その登場人物は、却下するには人間的すぎるし、受容できるほどには人間的でない。コンピューター・アーティストたちは、人工的な生物については、ずっと昔に、100%の現実感というテストに合格している。たとえば、映画「アバター」のナヴィ、映画「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムなど。そして今、人間についても(少なくとも私にとっては)、「タンタン」でそのテストに合格した。

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石黒浩『ロボットとは何か』(講談社現代新書)より

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posted by 七左衛門 at 22:20 | 翻訳    

2013年04月30日

「新しいものによる苦痛」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Pain of the New" の日本語訳である。



新しいものによる苦痛  Pain of the New

新しいメディア技術が出現したとき、アレルギー反応を起こすことがよくある。それが必要不可欠なものだとわかるまでは、私たちは、新しいものを苦痛だと思うらしい。

私は「ホビット」の映画を2回見た。1回目は「標準」モードで見た。その翌日、今度は「ホビット」を毎秒48コマのHFR(ハイフレームレート)3Dで見た。HFRとは、より高度な現実感を約束する、映画におけるハイテクである。HFRは、驚くほど本物らしく見えた。そして、最初は戸惑いを感じた。

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posted by 七左衛門 at 20:16 | 翻訳    

2013年03月23日

「希有なことが普通になる」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Improbable is the New Normal" の日本語訳である。



希有なことが普通になる  The Improbable is the New Normal

警察官や救急医、保険数理士たちは、みんな知っている。常軌を逸した希有な出来事が、年がら年中いくつも起こっていることを知っている。泥棒が煙突の中で身動きできなくなる。追突事故でフロントガラスから投げ出されたトラック運転手が、足から着地して、歩いて逃げる。野生のアンテロープが自転車に乗っている人を突き落とす。結婚式のろうそくの火が花嫁の髪を燃やす。海に面した裏庭で釣りをしていた人が大きなサメを釣り上げる。昔は、このような珍しい出来事が公開されることはなく、単なる噂として、あるいは友達の友達から聞いた話として語られるのみで、あまり信じてもらえなかった。

しかし、今では、それがユーチューブ(YouTube)に投稿されていて、私たちの視界に入ってくる。あなたもそれを見ることができる。先に述べた突拍子もない不思議な出来事は、いずれもユーチューブで数百万人が見ている。

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posted by 七左衛門 at 18:45 | 翻訳    

2013年03月13日

「中華的テクニウム」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Middle Kingdom Technium" の日本語訳である。



中華的テクニウム  Middle Kingdom Technium

興味深い課題を私にメールで送ってきた読者がいる。中国の南京大学大学院の学生で、次のように書いている。

私の専攻は民族学です。博士論文の研究テーマは、比較文化の視点から見た技術と社会という問題です。私の論文では、技術に対する少数民族の関わり方、とくに少数民族が技術を利用して、民族の独自性を維持し、それを広報するとすれば、どのように、またどの程度まで、技術が社会的な道具となりうるかについて重点的に考察するつもりです。あなたが中国の田舎を何週間か歩き回って、技術に関して現代中国社会の周縁部にいる人々と話をする機会と時間があるとしたら、どんな質問をしてみたいと思いますか?


これは非常に良い質問だ。私が尋ねてみたいことをまとめてみた。この学生が出会った人に、ぜひ質問してほしい。質問の大部分は、中国に限らず、どこでも通用するものだと思う。実際に、私とは違う種族の人たちの答えを聞いてみたい。私の考えた質問を以下に示す。

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posted by 七左衛門 at 22:02 | 翻訳    

2013年02月26日

「生産性以後の経済」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Post-Productive Economy" の日本語訳である。



生産性以後の経済  The Post-Productive Economy

この農家の写真をご覧いただきたい。これは、私が中国雲南省の奥地で見てきた建築中の家だ。このような家は珍しくない。この規模の農家は、中国の田舎ならどこにでもある。この壮大な建物の大きさに注目して欲しい。柱は、それぞれ一本の大木から切り出したものだ。どっしりした土壁は、3階の高さで、上に行くほど幅が狭くなっている。この家は、一つの大家族のもので、伝統的なチベット農家の様式で建てられている。米国のたいていの中流階級の家よりも大きい。家の内外に設けられた木の彫刻は、完成した家の写真に示すように極彩色に塗られる。雲南省のこの地域は、中国の中でも貧しい地域と考えられていて、居住者の生活水準は「貧困」に分類されるだろう。

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posted by 七左衛門 at 22:57 | 翻訳    

2013年01月20日

「本を読んでくれたらお金を払います」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "I'll Pay You to Read My Book" の日本語訳である。



本を読んでくれたらお金を払います  I'll Pay You to Read My Book

今では誰も、ノンフィクションの大きい本を読まなくなった。そんな時間のある人はいないのだ。大いに苦労して、みんなにノンフィクションの大冊を買ってもらったとしても、たいていの人はその本を読まない。家に持って帰ったとたんに、「あとで読む本」の棚に置かれるだけだ。あるいは、電子書籍リーダーの「受信箱」にたまっていく。私には、わかっている。購入された本がどれほど読まれていないか、著者である私はよく知っている。みんなが本を買ってくれるのはありがたいことだが、購入した(または、借りた)本が読まれていないとすれば、それは著者としては失敗だという気がする。

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posted by 七左衛門 at 21:29 | 翻訳    

2013年01月11日

「グローバリズム以前の世界」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Pre-Globalism" の日本語訳である。



グローバリズム以前の世界  Pre-Globalism

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観光には、少なくとも千年の歴史がある。古い中国の記録によれば、宋王朝の都、杭州の西湖を眺めるために、訪問客が列をなしたという(写真は現在の西湖)。宋の皇帝は、来訪者を引き寄せ、また、楽しませるために、この湖に土手道、あずまや、石橋などを作った。人々は景色を見るためだけに来訪している。これは、まさに観光の定義にあてはまる。

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posted by 七左衛門 at 21:07 | 翻訳    

2012年12月11日

「地球を平均すると」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Average Place on Earth" の日本語訳である。



地球を平均すると  The Average Place on Earth

技術および人間の活動は、地球全体にわたる規模になり、この両者は、地質学的な力であるかのように地球に作用している。文明は、過去および現在において火山がしてきたのと同じように、気候を変動させている。農業は、過去に気候がしたのと同じように、生物圏を変化させている。さらに今では、巨大都市が、気温と海面との地球規模の均衡に変動を与えている。テクニウム(訳注:文明としての技術)は、全地球的な出来事になっている。

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posted by 七左衛門 at 22:35 | 翻訳    

2012年11月18日

「手頃な異国感」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Easy Exotic" の日本語訳である。



手頃な異国感  Easy Exotic

旅行には少なくとも三つの態様があり、たいていの場合、その三種類すべてが混じり合っている。休養、目的、経験の三つの要素について、それぞれの最大値を頂点とする「旅行の三角形」のグラフを書くことができる。理想的な旅行には、三種類が均等に含まれているのだろうが、一般的には、どれか一つの側面が他よりも優勢であることが多い。私自身の旅行では、経験および目的を重視し、休養にはほとんど関心がない。この基準は人によって違うだろう。


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posted by 七左衛門 at 18:46 | 翻訳    

2012年10月31日

「インターネット知性の探索」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Search for Internet Intelligence" の日本語訳である。



インターネット知性の探索  The Search for Internet Intelligence

SETI(Search for Extra-Terrestrial Intelligence:地球外知的生命体探査)については、みんな知っていると思う。空に向けた多数の電波望遠鏡による観測網があって、アンテナが感知するあらゆる信号を記録し、計算機を使って分析して、地球外知的生命体の存在を示す兆候があるかどうかを調べている。映画の『コンタクト』(Contact)のようなものだ。

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posted by 七左衛門 at 23:12 | 翻訳    

2012年09月29日

「生まれながらにデジタル」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Born Digital" の日本語訳である。



生まれながらにデジタル  Born Digital

デジタルの世界に生まれて成長するとはどういうことなのか? 私の友人や読者から聞いた逸話をいくつか紹介する。


私の友人には、まだ5歳にならない女の子がいる。今どきの家庭では珍しくないことだが、家にテレビがなくて、パソコンは多数ある。友人が娘と一緒によその家に行ったところ、そこにはテレビがあり、別の部屋でテレビがついていた。娘はテレビのある場所に行き、その周辺をさがして、さらにテレビの後ろをのぞき込んで「マウスはどこ?」と尋ねた。

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posted by 七左衛門 at 17:01 | 翻訳    

2012年09月23日

「テクニウムの転換点」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "The Next Transitions in the Technium" の日本語訳である。



テクニウムの転換点  The Next Transitions in the Technium

生物の住む惑星が経験する発展上の転換点としては、どのようなものがあるだろうか? 文字の発明は、重大な転換点だろう。安価な非生物的エネルギーの利用もそうだ。科学的手法の発明は、大きな飛躍である。エネルギー(たとえば電気)を精密に制御することによる長距離通信も重要だ。そのおかげで、他の各種の発展が可能になっている。私たち人間の文明は、このすべての段階を経験している。今日の一時的な流行や熱狂は別として、将来、どのような転換がありうるだろうか? 情報やエネルギーの構造の新たな転換点として、私たちの文明が待望するものは何だろうか? このような変化はたいてい緩やかに起こるので、どの時点が境界だと特定することはできないが、それぞれの変化の構造を見ると、あらゆる文明が遅かれ早かれ到達する当然の変化だと思われる。

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posted by 七左衛門 at 19:32 | 翻訳    

2012年08月16日

「カルチャロミクス」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Culturomics" の日本語訳である。



カルチャロミクス  Culturomics

未来の図書館は、あらゆる本と雑誌と新聞(とブログ)を集めて、徹底的にハイパーリンクをつけて一つに統合したテキストを収蔵しているだろう。このような集積はすでに始まっていて、グーグル、アマゾン、その他の組織が、図書館の本をデジタル化して機械可読にする試みを実施している。すべての本を一度に読むことができて、無数の言葉の中から一定の傾向を推論できるとしたらどうだろう?

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posted by 七左衛門 at 21:29 | 翻訳    

2012年08月08日

「私たちは星くずである」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "We Are Stardust" の日本語訳である。



私たちは星くずである  We Are Stardust

毎年、年末になると知的興行主(私の著作権代理人でもある)ジョン・ブロックマンは、顧客や友人に質問を投げかける。2012年を迎えるにあたっての質問は「あなたのお気に入りの、深遠で洗練された美しい説明は何か?」というものだった。約200人がそれに答えていて、それを編集したものがここにある。このまとめは良い読み物である。

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posted by 七左衛門 at 22:26 | 翻訳    

2012年07月24日

「ハイテク製品購入のヒント」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Tech Shopping Rules of Thumb" の日本語訳である。



ハイテク製品購入のヒント  Tech Shopping Rules of Thumb

ハイテク製品を賢く購入するのは難しい。サム・グロバートは、貴重な経験から得た多くの複雑な知恵を七つの法則に要約して、ニューヨークタイムズに掲載している。私はこのリストに非常に感心した。なぜならば、正当な助言を簡潔な法則としてうまくまとめていると思うからである。サム・グロバートの七つの法則は、それぞれがトレードオフであるが、私の注釈をつけてここに示しておく。

ハイテク製品を買うときには……

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posted by 七左衛門 at 21:25 | 翻訳    

2012年07月06日

「同時性」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Simultanology" の日本語訳である。



同時性  Simultanology

Simultanology.jpg

同時性(simultanology):人間の動作と同様に、リアルタイムで即座に動作すること。

ATM(現金自動預け払い機)は、銀行業務の同時性の一例である。夜に今すぐ現金が必要だというときに、なぜ日中まで待って銀行に行かなければならないのか? ペイパル(Paypal)やその同類も、これとよく似た同時性だ。今すぐ払う! 私たちが新しいと感じることの大部分は、リアルタイムで即時の作用に向かうものである。

最近、私自身の生活で、新しい同時性の事例を二つ発見した。

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posted by 七左衛門 at 18:03 | 翻訳    

2012年06月08日

「画面表示する」

著者:ケヴィン・ケリー ( Kevin Kelly )
訳 :堺屋七左衛門


この文章は Kevin Kelly による "Screening" の日本語訳である。



画面表示する  Screening

近い将来、私の一日はこんな感じになるだろう。

朝、まだベッドにいるうちから画面表示することを始める。とりあえず、枕の近くにある画面を確認する。それは目覚まし時計でもある。どんなニュースが流れているかを見る。友人からのメッセージを小さなパネルに画面表示する。メッセージを親指でこすって消す。洗面所へ行く。新しい美術作品を壁に画面表示する。昨日よりも陽気で明るいものにしておく。服を着替えて、タンスの中の衣類を画面表示する。その画面では、このシャツには赤いスカーフが似合うと言っている。

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posted by 七左衛門 at 22:48 | 翻訳